経営者に突きつけられる永遠のテーマ。会社は誰のものか!?(生涯投資家を読んでA面)

本年度下半期の中でもヒット作でした。
 
村上ファンドと俗に呼ばれる投資会社が世間を騒がせたのは、2005年、当時堀江隆文氏率いるライブドアニッポン放送株を買い入れたときです。
それ以前から村上ファンドは、株を購入した会社の財務についての提案をするなどアクティビストとして経済界では知られていました。
本書はその村上ファンド率いる村上世彰氏が、2015年証券取引等監視委員会により金商法違反容疑で自宅や長女宅などが強制捜査を受け、当時妊娠中だった長女が死産したことを機に自身が持っていた上場企業に対する信念を発表したものです。
 
本書では、会社は株主のものであるということが村上氏の具体的な投資体験とともに繰り返し主張されています。
一般の人には馴染みがないかもしれませんが、法律的には株式会社の根幹は所有と経営の分離です。
すなわち、株主は株を取得して会社を所有し、出資した額の範囲内でのみリスクを負います。
経営者はその株主から委任を受けて会社を経営します。
このようにしてリスクを限定、細分化し、他方で経営は専門家に任せるということで出資を得やすくした制度が株式会社制度なのです。
 
また、会社が上場するメリットとしては市場から資金調達ができることと、社会的信用が得やすくなること、その副次的な効果として求人がやりやすくなることなどが挙げられます。他方で上場した会社の株式は誰でもが購入できるようになります。
 
資金調達の必要のない会社がステータスや、今まで上場していたから、他の会社が上場しているから、社会的にそういうものだからという理由で上場しまたはそれを維持し、巨額の内部留保をして全く株主へ還元しなかったり、経営者の保守のために買収防衛策を講じる会社があり、そこでは会社が株主のものであるという原理原則が全く顧みられていません。
 
会社法を頭で勉強している私にとっては、会社は株主のもの、株主利益の最大化といった村上さんの主張は、すごく分かるんです。
だからこそ、会社法を勉強してない人たちにぜひこの本を読んでもらいたいし、読んでどのように感じたかを知りたい!と思いました。
 
 
最後に、村上さんは、なぜ世間から非難されたのでしょうか。
そもそも、株価が割安な会社の株を購入して価値をあげて売却するというのはファンドとして当然の動きです。仕事でやっている以上利益を上げなければなりません。
「金儲け、悪いことですか?」という発言が切り取られ何度も放送され本当はお金儲けがしたいけどできない人たちの反感を買ったこと、そして原理原則に沿った行動がそれと乖離する現実の中で利益を得ていた人たちからの攻撃を受けたことが原因ではないかと本書を読んでいると思わざるを得ませんでした。
 
 

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フジテレビの成り立ち、資本構造が歪んだ原因については、メディアの支配者が面白いです。

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